本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

「大丈夫か?」

 耳元で藍堂先生の低い声が聞こえた。
 つまり……。

(藍堂先生が背後から抱き止めてくれてる……!)

 薄い服越しに、鍛えられた肉体をダイレクトに感じてしまう。
 それになんだか熱い。男の人は体温が高いって聞いたことがあるけど、本当なんだ……!

「すっすみません! 先生が支えてくれたお陰でケガせずに済みました! ありがとうございます!」

 私は弾けるように藍堂先生から離れて、頭を下げて謝罪した。

「それなら良かった。栞さんのお陰で動きがイメージできたよ。ありがとう」

 安堵した様子の藍堂先生はそう言って書斎に戻っていった。
 書斎のドアが閉まったのを確認した私は、へなへなとその場に座り込む。
 顔が火照るのが止まらない。
 藍堂先生はいつも長袖の開襟シャツを着ていて、体格が良いイメージはなかったのに。
 私の体を軽々と支えた厚い胸板。
 藍堂先生に抱きしめられたら、あんな感じなんだ……。

(私ってば何考えてるの!)

 ただのアクシデントなのに。男性に慣れてないから意識しちゃってるだけ。
 私は活を入れる為に自分の頬を軽く叩いてから、キッチンの掃除に戻った。
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