本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
「……届かないんで、新聞の束を踏み台にしてもいいですか」
「ああ、勿論」

 藍堂先生の許可をもらったので、私は新聞の束を本棚の前に持って来た。

「……し、失礼します」

 スリッパを脱いで新聞の束に乗ってみたものの、棚の上にやっと手が届いた程度。

(手がかりを探してるとしたら、こんなことで諦めないはず)

 私は登場人物の女性の気持ちを想像する。勢いよく爪先立ちをして、腕を伸ばした。
 片足で立って限界まで腕を伸ばした瞬間。

「わっ!?」

 新聞の縛り方が緩かったのか、新聞の束がずれ、足元が崩れてしまった。
 ズルッと足が滑り、体がぐらりと後ろに向かって傾いていく。

(やばっ……このまま後ろ向きで床に倒れたら、後頭部を強打する――)

 しかし、次の瞬間。
 私の背中はあたたかくがっしりとしたものに受け止められた。
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