本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
(ロクな服がない!)
クローゼットをひっくり返しても、地味な服しか出て来ない。
それはそう。地味な服しか買ってないんだから。
でも、一緒に行動する藍堂先生に恥をかかせるわけには行かないよ……。
「この服が私の服の中で一番華やかかなぁ……」
小さな服の山から、紺色のワンピースを広げて持ってみる。
少し前に、友人の結婚式に出席するために購入した一張羅だ。
これにベージュのローヒールのストラップパンプスと、小振りのバッグ、アクセサリーは一粒ダイヤがついたプラチナのネックレスと、セットのイヤリングを合わせたら、ドレスコードのあるレストランでも浮かないはず。
約束の時間の5分前になったので、個室から出てリビングに行くと、藍堂先生がソファーに座っていた。
「藍堂先生、こんな服装で大丈夫でしょうか……?」
「……ああ、大丈夫」
一瞬間があったような?
もっとパステルピンクとかの華やかなワンピースを買っとけばよかった。
大丈夫だと言ってくれたので、藍堂先生を信じよう。
藍堂先生は腕時計を見て、「そろそろ出よう」と言った。