本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

「万が一……最悪の事態を想定して、お腹にこれを入れていたんです……」

 私が黒のフレアトップスの下から取り出して、高く掲げたものは……一冊の本。
 そう、もし宮本優衣華が刃物を持って来たら危ないと思って、念のためにお腹に入れていたのだ――
 ついこないだ買った、鷹司さんの新刊を。

「はぁああああぁ!?」

 宮本優衣華が不満げな悲鳴を上げる。

 まあそりゃそうでしょうね……。
 本当は私だって、ちゃんとした防刃服を着たかった。けれど、買う時間がなくて仕方なく……。
 大事な本をこんな風に使うのは、本好きとして良くない行いだとわかっているので、鷹司さんには隠していたし。

「ふっざけんな!」

 宮本優衣華は憎々しげに怒鳴りながら、横目で何か探している。

「探しているのはこれか」

 鷹司さんが足元をずらす。そこには、宮本優衣華が落とした包丁があった。

(鷹司さん、私のお腹を見るために屈み込んだ時に、近くに落ちてた包丁を宮本優衣華に取られないよう、さりげなく隠したんだよね……)

「~~~~!」
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