本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

 宮本優衣華が悔し紛れに何か叫んでいたが、どんどん大きくなるサイレンの音に掻き消された。

「通報があって来ました!」
「暴れないで」

 パトカーから降りた屈強な警察官二人が、宮本優衣華を捕まえる。
 騒がしかったので、近所かマンションの方が通報してくれたのだろう。

(あ、もしかして。鷹司さんがやけに大きな声で話したのは、周囲に通報してもらうためだったのかも)


 ――宮本優衣華は暴れて警察官を殴り、公務執行妨害で逮捕されて連行。
 私と鷹司さんは警察から事情聴取を受けた後、私は一応警察病院で腹部を診てもらったが、なんの問題もなかった。
 刺されなかったとは言え、ハードカバーの硬い本が勢いよく腹部に食い込んで地味に痛かったので、ホッとした。

 警察署からの帰り道、お騒がせしてしまったお詫びにご近所周りに菓子折りを配り、やっとマンションに帰って来て。
 休む間もなく引っ越し見積もりの業者が来たので、打ち合わせをして。
 
 そうして今。
 見積もりに来た引っ越し業者を見送り、リビングに戻ったところだ。
< 72 / 86 >

この作品をシェア

pagetop