【色彩奉納記】
第一章第八幕【深蘇芳の夜】
縁側に並んで座ると、夜風が静かに通り抜けた。
しばらく二人とも何も言わなかった。
それでも不思議と、沈黙が苦しくなかった。
「…次の奉納、怖いんです」
ふと牡丹様がぽつりと言った。
「また彩るたびに、わたしが少しずつ消えていく気がして」
「目が霞んで、声が遠くなって…」
「それでも笑って舞わないといけないのかって思うと」
僕は少し考えてから、口を開いた。
「消えません」
「…え?」
「貴方は消えません。僕が見ています。貴方がどんなに霞んでも、僕だけは貴方を見失いません」
牡丹様がこちらを見た。
そして、ふわりと微笑んだ。
「…凛紅さんって、たまにすごいことを言いますね」
思わず視線を逸らしてしまった。
顔が熱い。これは夜風のせいだ。絶対にそうだ。
牡丹様の笑い声だけが夜空に響いた。
しばらく二人とも何も言わなかった。
それでも不思議と、沈黙が苦しくなかった。
「…次の奉納、怖いんです」
ふと牡丹様がぽつりと言った。
「また彩るたびに、わたしが少しずつ消えていく気がして」
「目が霞んで、声が遠くなって…」
「それでも笑って舞わないといけないのかって思うと」
僕は少し考えてから、口を開いた。
「消えません」
「…え?」
「貴方は消えません。僕が見ています。貴方がどんなに霞んでも、僕だけは貴方を見失いません」
牡丹様がこちらを見た。
そして、ふわりと微笑んだ。
「…凛紅さんって、たまにすごいことを言いますね」
思わず視線を逸らしてしまった。
顔が熱い。これは夜風のせいだ。絶対にそうだ。
牡丹様の笑い声だけが夜空に響いた。