いじわる主治医は、私にだけ甘い
翌週末、よく晴れた日。
彩人と海に行くことになった約束の日。
私はモジモジしながら駅前で、車を待っていた。
彩人の車はかっこよくて、あ、すぐあの車だって分かった。

「お待たせしたね」

「ううん、今来たとこ」

「そういうのって大抵嘘だよね」

「うん。緊張して30分前から待ってた」

「ははっ、冴らしいな」

「そうかな」

「人生初デートですか?」

「もうっからかわないでよ」

その通りなのだった。
人生で初めて、好きになった人と好きな場所に行ける。
ドキドキして昨日は寝られなくて、彩人の事ばかり考えてた。
先生とこんなことしていいのかなってどぎまぎしたり、逆に夢みたい〜〜〜幸せって浸ってみたり。
感情が忙しくて。

「彩人、今日は誘ってくれてありがとうございます」

それでも素直な気持ちは伝えたくて。
初めてのデートだと思うから。

「いいえ、冴さんが来てくれて光栄の至りです」

「畏まらないで。余計緊張しちゃう!」

「冴が畏まるから! 真似しただけだよ」

海って言っても今の時期はまだ泳ぐには早いから、静かに楽しめそうだなぁ。
お弁当は持ってきたけど、彩人、食べてくれるかな。
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