いじわる主治医は、私にだけ甘い
「彩人、すごい雰囲気の店だね……超高級店じゃん」

「冴ちゃん、全然緊張しないでいいよ! 凛が説明するとねーハワイの食材 × 和食 × 中華 × フレンチ × 各国料理みたいな店だよ」

「凛ちゃん……余計分かんなくなったんだけど」

「まぁ、食えるものを食える範囲で食えよってことだ」

彩人のご家族に囲まれて座ると、改めて場違いなのかもと不安になるけれど隣にいた彩人がずっとテーブルの下で手を繋いでくれていたから安心できた。

しかもこっそり

「明日は2人でサンセット見ような」

と囁いてくれる。
私、一生分の贅沢をここで使ってしまったのでは? と思う。

「ねぇねぇ、さい兄は冴ちゃんと結婚するの?」

「こら凛ちゃん、立ち入った話をしない」

「だってぇ」

急なド直球な質問が来てあわあわして、彩人を見るとすごく落ち着いてた。こういう時年上は頼りになるなぁと思って胸がぎゅってなる。

「母さん、父さん、そして凛。決して遊びで付き合ってる訳じゃないからこうして連れてきた。だけど、冴はまだ24歳で。これからどんな風にも変わっていける。俺はそんな冴の可能性を潰す方向にはしたくないとは思ってる」

「わ、私もまだ真剣にそういうことを考えたことはなくて……でも彩人さんと一緒に歩いていきたいって気持ちは本物です」

「いいんだよ、2人らしくゆっくり進んでいけばいい。うちの娘が立ち入ったことをすまない」

「さぁさ、ご飯を食べましょう」

お義父さんとお義母さんがフォローしてくれた。

ハワイアンサラダやチキン、マンゴーソースがかけられた白身魚のグリル、ココナッツのデザート、どれもとても美味しかった。

「ご馳走様でした」

「あら、ほんとに少食なのね」

「すみません」

「皆、そろそろ冴も疲れたと思うから今日はホテルに戻るよ」

「そうか、また会おう」

「ねー、凛とSNS交換しよ!!」

「いいの?」

「うんッ」

と明るくいってくれるので、なんとインフルエンサーと友達になっちゃいました。
不思議な家族。
でもすごく暖かな家族。
私には持てなかった家庭がそこにはあった。
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