いじわる主治医は、私にだけ甘い
6. ヒリヒリする恋
翌週、私と慶人は箱根駅の前にいた。
ロマンスカーに乗ってる間、眠っていた彼の横顔をずっと見てたけど、本当に彩人と瓜二つだった。

「あいつ、本当に悔しがってて笑ってしまったよ。やり返されることは分かっていただろうが、冴まで連れてかれるとは予想外だったらしい」

箱根の駅前の土産屋を見るとなく見ながら、私たちはポツリと話し始めた。

「まぁ、そうなるよね。彩人からも浮気すんなよ!ってメッセージ沢山来てた。浮気……というか、逃避行みたいな感じなのにな」

「ハハ、あいつにはまだそういう細かな機微は理解できないだろう」

「慶人には分かるの?」

「どうだろうね。でも僕は君が君の思っているよりずっと強くて、迷ったり悩んだりしても、最後には君は答えを出せる人だと思うよ」

「慶人の言う通りになったらいいな」

『さぁカップルさん、お饅頭どう? ふかしたてだよ』

「ふふ、だって慶人。食べていこうよ」

「そうだな」

お饅頭はお月様のようにまるくて、甘くておいしかった。

「とにかく連れてきてくれてありがとう。あのね、私、手術が終わって落ち着くまで休暇を取ることにしたんだ。1ヶ月。今まで一人で生きていくんだって必死で生き急いできたから」

「ずっと一人で頑張らなくていい。彩人も俺ももうそばに居る。何もかも任せてくれる時があっても良いんだ。誰かに頼ることもまた強さなんだよ」

「うん、ありがとう」

「感謝することなんてないさ」

「そうだね。私、もう一人で頑張るのは止める」

それにこのお饅頭美味しいから、お土産にして職場に持っていこうっと。
いつでも来てくれていいって会田さんも相馬くんも言ってくれたし。
私は一人じゃない。



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