いじわる主治医は、私にだけ甘い
昨日、彩人さんからプロポーズされた。
結局指輪は見るだけで、決まらなかったけど。
まるで夢みたい。

でもその前に乗り越えなきゃいけない関門があった。
私の家族への挨拶だ。

家を出たとは言え、結婚となれば勝手にするわけにいかない。

「冴ちゃん、今日は顔が怖いよ?」

「慶人さん、おはようございます! 怖くないですよ」

「いや、バレバレだから。どうかしたの? 入籍のこと?」

「えっ? なんで知ってるんですか!?」

「彩人から結構前から相談受けてたし。一応、兄は僕なんで」

「そうですか……。実は家が毒親って言うか、弟4人いて、世話を全部押し付けられてたみたいな。それが嫌になって家出同然で出てきたもので……」

「挨拶が憂うつと」

「そうなんですー!」

さすが話の早い慶人さん。

「うん、冴ちゃんなら大丈夫」

とバシバシ肩を叩かれた。

「なんかさ、思い悩むより、実際当たって砕ける方が早いパターンな気がする。さっさと済ませて来ちゃえばいいんだよ」

「砕けちゃ困ります!」

「はは、とにかく冴ちゃんの気持ちは揺らがないんでしょ?」

「はいっ! 彩人しかいないと思います」

「なら、行ってきなよ」

とまた、髪型をぐしゃぐしゃにされながら助言された。

「慶人さん、また髪ー!」

「ふふ、またね」

手を振って去っていく慶人さん。
今頃気がついたけど、めっちゃマイペースな人かも。
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