いじわる主治医は、私にだけ甘い
リビングに向かうと彩人が朝食を並べて待っていた。

「冴、おはよう」

「おはよう、彩人。彩人が並べてるの珍しいね」

「さとじいから仕事奪い取った(笑)引っ越して、二人で暮らすようになったらこういうことも分担だろ」

「確かに。私も料理とか自分用にしか作ってなかったから頑張るね」

「いや、無理はするな。暫くはどこかから使用人を使ってもいいと思っている」

「そんな……」

「冴は身体が余り強くないからな。張り切りすぎるなということだ」

「うん。解ったけど、なるべく2人でいたいから。使用人さんは使わなくて済むようにやるよ。仕事の方をセーブしてもいいし」

「解った。冴の思うようにしよう。さて、朝ご飯だ」

「うんっ」

ふたりで向かいに座って食事を共にする。
彩人はやっぱりいつも通り普通の人の2倍は食べている。
綺麗な食べ方なので違和感がすごい。

「彩人ってさ、ほんとに食べるよね」

「医者は体力仕事だからな」

「図書館員も重い本とか持つけど、そんなに食べられないなぁ。すごい!」

「そうか」

「うんっいっぱい食べる人ってなんか……かわいい」

「冴にそう言われると悪い気はしないな。あ、そうだ。冴、そろそろ定期検診もあるだろ。今日あたり病院来てもいいぞ」

「うんっ。じゃあ仕事終わったら行くね。異常なかったら、病院も卒業かぁ」

「何、はじめはあんなに嫌がってたのに名残惜しい感じ出してるんだ。それにこれからも定期検診は続くぞ?」

「そうだね。なんか、色んなことがあったから」

「これからも、医者としても、夫としてもよろしく頼むな」

「もちろんっ! 支えるよ」

「それじゃあ、ご馳走様」

「え、もう食べたの?」

私まだ半分も食べ終わってない。

「遅いんだよ。もう行かないと。ほら、行ってきますのキス」

当たり前のように唇を重ねる私たち……。
最近、おやすみと行ってきますのキスは決まった行事になっている。
あぁ、幸せ過ぎて怖いくらいだよ!
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