キミと歌姫はじめました!
画面の向こうの空気が止まる。
「新曲を披露します。」
その言葉で、コメントは一気に加速した。
《新曲!?!?》
《やば楽しみすぎる》
《神曲間違いなし》
《エルシー推しててよかった》
有栖はその反応を見ながら、仮面の奥で小さく息を吐いた。
(……やるしかない)
まだ完成していない曲。
でも、もう逃げられない場所まで来ている。
零が最後に言う。
「詳細は配信終了後、公式サイトで確認してください」
「それでは――」
有栖は一瞬だけ間を置いて、笑うように声を重ねた。
「今日の一曲っ!」
「前回の配信で一番リクエストが多かった曲は―――」
Noirの声が静かに響くと、コメント欄が一気に動いた。
《定番の神ルーティーン来たああ!》
《待ってました!》
《どれ歌うんだろ》
《全部聞きたい》
「たくさんのコメント、みんなありがとうっ!」
有栖――Irisが軽く手を振るようにして、画面に向かって明るく笑う。
一瞬だけ間を置いて、零が頷く。
「今日の配信で歌うのは―――ヨルガオです。」
その名前が出た瞬間、コメント欄がざわっと揺れた。
《うわああああああ》
《それはアツい》
《古参泣くやつじゃん》
ヨルガオ。
LC_404として最初に公開した、デビュー曲。
まだ誰にも見つかっていなかった頃の、原点の歌。
今のような登録者数もなければ、注目もなかった時代の音。
だからこそ、この曲をリクエストしているのは、
初期から追っているリスナーが多い印象だった。
「うわ、私この曲大好き!了解ですっ!」
Irisは両手で小さく丸を作る。
そして、軽く指を鳴らした。
パチン、と小さな音でリズムを刻む。
「3、2、1」
そのカウントと同時に、空気が変わる。
じゃらん、とギターが鳴った。
Noirの指が弦を弾くたびに、優しく波紋のような音が広がっていく。
その上に―
「―――朝じゃなく僕は夜に咲く。
キミの隣で寄り添うように。
暗くて悲しいこの夜も、きっと僕らなら超えていける。」
Irisの声が重なった。
透き通るような、高くも低くも自由に揺れる声。
まるで夜の空気そのものをなぞるような、静かで美しい歌声だった。
仮面で顔は見えない。
それなのに、なぜか表情が見える気がする。
楽しそうに歌っていることだけは、はっきり伝わってくる。
「新曲を披露します。」
その言葉で、コメントは一気に加速した。
《新曲!?!?》
《やば楽しみすぎる》
《神曲間違いなし》
《エルシー推しててよかった》
有栖はその反応を見ながら、仮面の奥で小さく息を吐いた。
(……やるしかない)
まだ完成していない曲。
でも、もう逃げられない場所まで来ている。
零が最後に言う。
「詳細は配信終了後、公式サイトで確認してください」
「それでは――」
有栖は一瞬だけ間を置いて、笑うように声を重ねた。
「今日の一曲っ!」
「前回の配信で一番リクエストが多かった曲は―――」
Noirの声が静かに響くと、コメント欄が一気に動いた。
《定番の神ルーティーン来たああ!》
《待ってました!》
《どれ歌うんだろ》
《全部聞きたい》
「たくさんのコメント、みんなありがとうっ!」
有栖――Irisが軽く手を振るようにして、画面に向かって明るく笑う。
一瞬だけ間を置いて、零が頷く。
「今日の配信で歌うのは―――ヨルガオです。」
その名前が出た瞬間、コメント欄がざわっと揺れた。
《うわああああああ》
《それはアツい》
《古参泣くやつじゃん》
ヨルガオ。
LC_404として最初に公開した、デビュー曲。
まだ誰にも見つかっていなかった頃の、原点の歌。
今のような登録者数もなければ、注目もなかった時代の音。
だからこそ、この曲をリクエストしているのは、
初期から追っているリスナーが多い印象だった。
「うわ、私この曲大好き!了解ですっ!」
Irisは両手で小さく丸を作る。
そして、軽く指を鳴らした。
パチン、と小さな音でリズムを刻む。
「3、2、1」
そのカウントと同時に、空気が変わる。
じゃらん、とギターが鳴った。
Noirの指が弦を弾くたびに、優しく波紋のような音が広がっていく。
その上に―
「―――朝じゃなく僕は夜に咲く。
キミの隣で寄り添うように。
暗くて悲しいこの夜も、きっと僕らなら超えていける。」
Irisの声が重なった。
透き通るような、高くも低くも自由に揺れる声。
まるで夜の空気そのものをなぞるような、静かで美しい歌声だった。
仮面で顔は見えない。
それなのに、なぜか表情が見える気がする。
楽しそうに歌っていることだけは、はっきり伝わってくる。