私に憧れていた年下社長と出張一夜、理性が崩れて溺愛が止まりません
きれいだと思う余裕もないまま、ただぼんやりと眺めた。

『この方なら、きっと大切にしてくれると思うの』

大切にしてくれる。

穏やかに過ごせる未来。

それはきっと、間違っていない選択。

――そう、分かっているのに。

胸の奥に、なぜか引っかかるものがあった。

「……少し、考えさせて」

自然と、そんな言葉が出る。

『ええ、それでいいのよ。でも、あまり長くは待たせられないからね』

柔らかく釘を刺される。

「分かってる」

通話を終えると、静けさが戻った。

スマートフォンをテーブルに置き、ゆっくりと息を吐く。

 ――四十。

その数字が、やけに重く感じる。

若い頃のように、何も考えずに恋をする年齢ではない。

安定を選ぶことも、決して間違いではない。

むしろ、それが“正しい”のかもしれない。
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