さよなら、未来を生きる君へ

「……來生くん」

紗凪の目からポロポロと涙が頬に伝う。

その雫を拭ってあげたいけど、亡霊の体では紗凪に触れられない。

「もう、時間だ」

泣いている紗凪を置いていくのは心配だし、もっと側にいたいけど時間は待ってはくれない。

もう、紗凪と会えるのはこれで最後。

だから、どしても伝えたいことがある。

「紗凪、お前には明日が来る。希望という名の明日。だから、もう過去に囚われるな。前だけを見ろ」

薪原だけを見ろ。

そいつなら紗凪のこと任せられるだろう。

「そして、紗凪の力で自分の未来を切り開いていけ」

最後は紗凪の好きなアニメの名台詞を言ってみせると、紗凪は口元を緩ませてはうんと頷いてくれた。

お前には笑顔が1番似合う。

だから、これからも明るく元気な紗凪でいろ。

俺はもう紗凪の側にいられない。

だけど、空から紗凪のこと見守るから。

「さよなら、紗凪」

最後はしんみりとした感じにならないようになるべく明るく言った。

悲しい感じで最後の別れをしたくなかったから。

それが紗凪にも伝わったのだろう。

「さよなら、來生くん」

最後に見た光景は、涙が頬を伝いながらも笑顔を向けてくれた紗凪の姿だった。

                   【終】
< 13 / 13 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

嘘つき彼女とピュア彼氏

総文字数/11,007

恋愛(純愛)13ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
エイプリルフールの日についた嘘。 どうか、きみはその嘘に騙されたままでいて。
もしも生まれ変われるのなら

総文字数/1,621

その他3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私は、今すぐにでもあなたに会いたかった。 でも、あなたは私に会いたくなかったの? あなたが流している涙の理由を私は痛いほど知っているのに。 これじゃあ、なにもできない。 あなたを笑顔にさせることができないよ。
この先、輝く未来が待っているから

総文字数/950

その他2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
あの時、あなたが選んだ選択は間違っていなかったよ。 だって、ほら。 私は、こんなにも幸せ。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop