経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength

残さず全部

 予想した通り、司は意地悪だった。もう体はとっくに準備できていて、それ以上なんて必要がないくらいに熟しているのに、まだ我慢。とばかりに焦らされた。もう少し触れるだけで、きっと形が崩れてしまうほどぐずぐずにされて、いつ形を失ってしまうのか分からない快感に怯えてしまう。

「司、君、ま…待って…あん…っ」

 こんなの知らない。ほんの僅かに触れられただけで体が反応して首を振った。

「綾ちゃん」

 耳元で囁かれた声と息にもびくびくと震える。分かってやってる。その声がもっと自分を撫でる。

「気持ち良い?」

 初めての時の安心した満たされ方とは違う。この人のものになれたと喜んだ体は、安心を手に入れたら遠慮がなくなったみたいに反応している。

 司もそうなのかもしれない。自分のものだから好きにする。そんな風に意地悪だ。

「わ…分かんな…」

 このまま乱れて良いのか止めた方がいいのか、分からないくらいに体が敏感で何も考えられない。このまま進んでしまったら体が壊れそう。もしも止めたら、後悔しそう。

「そっか」

 と、司はそれ以上問い詰めることはしなかった。でも自分に分からせるように更に意地悪になった。いよいよ形を崩してしまう筈のそれを優しく撫でる。崩れないぎりぎりの力加減で。中も外も羽で触れるように。

 崩れそうで崩れない。崩れている筈なのに形を保っている。覚悟しては裏切られ、期待しても裏切られ、与えられたストレスに柔い筈のそれが痛くなる。

「ん…あ…や、やだ……」

 頭がおかしくなりそう。もう耐えられないと首を振った。ほんの僅かな上り坂を、上っては滑り、上っては滑りと繰り返されて苛立ちのようなものが体に溜まる。苦しくて吐き出したくなる。

「何?」

 まるで子どもや小動物を撫でるように優しく口を塞がれて、彼等がするように駄々を捏ねた。

「もう、無理…無理…」

 これ以上耐えられない。と、縋ったら司が笑う。

「欲しい?」
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