経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
 そうすれば楽になる? 楽になる前にどうなるかなんて考えることもできずに必死に頷いた。

「じゃあ、上げる」

 そう言われて、ほっとしたようなぞっとしたような不思議な感覚に混乱した。司が離れて、この後どうなるんだろうと考えていたら答えが出る前に司が戻ってくる。

「ん…ん…」

 ちょっと待ってね。と言わんばかりに口を満たされて思考を失った。怖くない、心地良い愛情表現に安心する。夢中になっていたら怖い部分にも触れられたのを感じて体が怯んだ。

「あ…あの…」

「何?」

 いいよ。待つよ。とばかりにあっさり止まって司が言う。そのまましてくれたら考えられずにいられた。そうしたらきっと、既に何もかも終わっていたのに。

 どうしよう。と、迷うこともストレスになった。進んだらどうなっちゃうんだろう。考えても分からない。この前はどうだったっけ? こんな風にはならなかったから。何の参考にもならない。

「怖い?」

 と、司が囁く。

「止めとく?」

 何も答えなかったらもう一回。

 それでも何も答えなかったら、仕方ないなとばかりに笑って司はこう言った。

「綾ちゃん」

 急に低くなったその声は、脅迫するようにこんな事を言う。

「しなかったらずっとこのまんまだよ?」
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