経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
 その後、何も相談することも考えることもせず、部屋に入って結局そのまま閉じこもった。司は続きをしようと言ったけれど、勢いに任せてそんな事はしなかった。そんな会話が無かったみたいに時間を過ごす。二人で並んで座って、のんびり。さっきまでの奇跡のような体験の余韻を楽しんだ。

「楽しかったね」

「こうして戻ってくると本当に夢みたい」

「確かに。凄かったね」

「連れて行ってくれてありがとう」

「こちらこそ、一緒に行ってくれてありがと」

 そんな事を言って、初対面の時みたいにふふふと笑う。

「旅行楽しいね」

「また行きたいね」

「次はどこに行こっか」

「ねー」

 指を絡めてそんな話をする。時折そっと抱き締めてくれたりキスをくれる司に少しずつ満たされた。乾ききらないように注がれる愛は、少しだからこそ貴重で、求める感情を更に大きくする。この後、たっぷりね。と、今の時間を楽しむ余裕をくれるような触れ合いに、司の求めに応じて受け入れ、体を預けた。

 ただ黙ってそこにいてくれて、優しい空気と表情で包んでくれる綾音から、同じ愛を受け取っている司のことを彼女は知らない。
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