経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
おまけエピソード

推し争奪戦 1

「情シスってマジで融通利かないよな」

「確かに。二言目にはセキュリティだの危機管理だの煩い」

「フリーソフト入れたくらいでぐちぐち言ってさ。皆使ってるんだから平気に決まってるじゃん」

「それでうちらの業務の質とかスピードが上がるのに分かってないよな」

「ほんとそれ」

「いっつも不機嫌だしさ」

「フォロー役ならフォロー役に徹して欲しい」

「誰がもの売ってるんだよっていうね」

「そうそう」

「あ、その情シスだ。やべ」

 昼休み。フリースペースで、ぐちぐち不満を口にしていた営業部の男性社員は、近くにいた情報システム部の二人組に気付いて顔を伏せた。言われたもう一人は振り返って肩を竦める。やば。こんなの聞かれたら面倒だ。何だかんだ助けて貰うし。と、小さくなったその二人に、その情シスの声が聞こえてくる。

「あ、あれ…なあ! 上野さんじゃね?」

「え? マジで!? どこどこ?」

「あそこにいるの、違う?」

「…あ! そうじゃん! 一人!? チャンス!!」

 と、二人はるんるんで愚痴り組の斜め後ろにやって来た。なんか様子が変。こんな楽しそうな情シス見たことない。

「上野さん。お疲れ様です。お一人ですか?」

「…あれ? 田中さんと高橋さん。お疲れ様です。はい。ぼっちです」

 あはは。と、笑う相手の声が聞こえてくる。こっちも楽しそう。

「じゃあ、相席良いですか?」

「勿論です」

 どうぞどうぞ。と、声が聞こえてきて愚痴り組の後ろに情シス二人が座る。そのやり取りに二人は顔を見合わせた。どういう事? 随分丁寧な感じじゃん。いつも上から目線でぷりぷりお怒りの癖に。あの子、外部の人間? でもお疲れ様って言ってるし、何か変だな。
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