経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength

たんぽぽがラーテルになっちゃった

 癪だけど部外者だし、敢えて探そうとまでは思っていなかったけれど見付けたらとっちめてやる! と、ふんふん鼻を鳴らしていたらすぐに見付けた。四、五人で集まって立ち話をしている。というか、司に人が集まっているようだ。目立つから視界に入ればすぐ分かる。

「上野!」

「…ああ」

 その声を待っていたかのように司は振り返った。そして相手に手を振って別れ、こっちにやってくる。中心が無くなった集団はふらふらしながら動いていった。

「何?」

「あんた…っ」

 と、声を張り上げようとして周囲の気配に思い止まる。司はどうなっても良いけれど綾音は駄目だ。うぐぐと音量を飲んでから舞は小さな声で言った。ここで外に連れ出したりして下手に目立ちたくない。

「綾に聞いたよ。幾ら何でも化けの皮を脱ぐのが早いんじゃないの? 一昨日までは二人で会うこともしなかったのに背中押したらすぐに食い付くなんてさ」

「うん」

 そりゃそうだ。とでも言わんばかりに司はすんなり頷く。その態度に腹が立った。

「あんた恋愛を軽く見過ぎだよ。付き合っていなくても色んな子を見て告白もされていれば幾らでも替えが利くと思うんでしょうねぇ。でもその一つの重みが全然違う子もいる事くらい分かっておいてくれない? 何が言いたいかって言うと綾を弄ばないで」

「立花こそ軽く見過ぎなんじゃない?」

 するとすぐに声が返ってくる。世間話しているかのような重みの無い声。

 その声に騙されていたんだと気付いた。用意周到に仕組まれたんだ。自分達を安心させる為に。

 それは半分本当で半分は嘘。
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