経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
 司の話は分かりやすいのに混乱する。分かっていながらどうしてそれを選択するんだろう。もう少し綾音と仲を深めてからでも、せめて日にちを検討しても良いと思うのに。全て即決で操作も調整もしない。何も考えていないかのような行動をする癖に、それを全部否定した上で全ての疑問に答えてくる。

「上野のすることが雑なのか丁寧なのか分からない。あたしに知られたら一悶着あるの分かってるでしょ? それで良いの? それとも何も考えてないの?」

「隠そうとすれば綾ちゃんが辛くなるじゃん」

「!」

 そう言われてぐうの音も出なかった。

 その言葉で、司は自分の手に負えないとはっきり分かった。視野の広さと覚悟が違いすぎる。自分が何を言っても司は動じないし速度を変える事も無いだろう。あとは綾音と一対一だ。綾音の結論をそのまま受け止めるだろうと信用はしているけれど、それまでにどれだけかき乱されるかと思うと頭が痛い。それを表情に出した舞に司は余裕の顔で頷いた。

「それに、その方が綾ちゃんも良いと思うしね。困ってたら相談に乗って上げてよ。俺が言うのもなんだけど」

「…余裕ですねー。モテ男は」

「余裕が無いから言ってるんだけどな。余裕があれば綾ちゃんを困らせるようなことはしない」

 ああ言えばこう言う。と、舞は苦虫を噛み潰した。

「いいや、お前はあたしを舐めてる。余裕ぶっこいてあたしに知られたこと、後で後悔させてやるからな!」

 この際はったりでも何でも良い。最後に爪痕を残したい。それがいつか司の目に留まれば何かに影響するかもしれないから。
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