経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
結構な時間、そうしていたら落ち着いた綾音が顔を隠しながらも司を見上げる。目も鼻も赤い。頬も。でも可愛い。凄く可愛いと思う。
「司君は泣かないんだね」
「うん」
「感情がこう、ぶわーってなって涙が出てくる感じ、無いの?」
「うん。無い。言われてもよく分からない」
「どうしてかな」
「生物学的に男の方が泣きにくいらしいけど。あとは共感度の差かな」
「泣くのを我慢してる訳じゃないの?」
「うん」
「泣けるなら泣きたい?」
「いや、もしも一人で見てても泣かない」
「…そっか…」
ふーん。と、そのままを受け入れて納得した様子の綾音に言った。
「綾ちゃんは、どうして泣いたの?」
その問いに綾音は少し考える。そしてやがて、これで良いのかと迷うように首を傾げながら小さな声で呟いた。
「…幸せだから」
その言葉に司は目を丸くした。綾音は、これは映像や音やストーリーで零れた涙じゃなくて、それを感じて受け止められるだけの安心や、安定や、安らぎがあるからだと言ってくれている。それは一緒にいる自分が与えたものだと伝えてくれている。それを渡してくれたことも、それを理解した自分にも驚いた。
曖昧で深いその言葉を、綾音は理解してくれるか不安に思ったのかもしれない。だから躊躇ったのかもしれない。でもそれは、明示されたかのような明らかな形で司に伝わった。ずっと恋焦がれて欲しくて、やっと自分に応えてくれた彼女は、自分と違う形で同じくらいの重さで思ってくれている。
「司君は泣かないんだね」
「うん」
「感情がこう、ぶわーってなって涙が出てくる感じ、無いの?」
「うん。無い。言われてもよく分からない」
「どうしてかな」
「生物学的に男の方が泣きにくいらしいけど。あとは共感度の差かな」
「泣くのを我慢してる訳じゃないの?」
「うん」
「泣けるなら泣きたい?」
「いや、もしも一人で見てても泣かない」
「…そっか…」
ふーん。と、そのままを受け入れて納得した様子の綾音に言った。
「綾ちゃんは、どうして泣いたの?」
その問いに綾音は少し考える。そしてやがて、これで良いのかと迷うように首を傾げながら小さな声で呟いた。
「…幸せだから」
その言葉に司は目を丸くした。綾音は、これは映像や音やストーリーで零れた涙じゃなくて、それを感じて受け止められるだけの安心や、安定や、安らぎがあるからだと言ってくれている。それは一緒にいる自分が与えたものだと伝えてくれている。それを渡してくれたことも、それを理解した自分にも驚いた。
曖昧で深いその言葉を、綾音は理解してくれるか不安に思ったのかもしれない。だから躊躇ったのかもしれない。でもそれは、明示されたかのような明らかな形で司に伝わった。ずっと恋焦がれて欲しくて、やっと自分に応えてくれた彼女は、自分と違う形で同じくらいの重さで思ってくれている。