この結婚は王命ですから。初夜で拒絶された花嫁です、それでは自由にやらせていただきます!
「そして今から皆の雇い主でもあります。どうぞ、よろしくお願いします」
にっこり微笑み、テキパキと指示を出す。
「力のある男性、そうね、三人ぐらいでいいかしら」
そのぐらいの人数であれば、ひとまず足りるだろう。
「ロゼール」
「はっ、はい」
「まず、あなたは馬車でこの三人と屋敷に戻って。そして貯蔵庫にある食料を積んで、またここに戻ってきて」
「い、いったい、なにをなさるおつもりですか?」
いまいちピンときていないロゼールに微笑む。
「私と一緒に南部から運ばれてきた食糧よ。屋敷で使わないのなら、腐らせる前にここで使うわ!」
「そ、それはいけません!」
ロゼールが難色を示した。
「あら、それはどうして?」
「屋敷の物を勝手に動かしてはいけません。イザーク様に許可を取りませんと!」
「大丈夫よ。彼から許可なんて必要ない」
そうよ、彼は食糧をどうにかする気はなさそうだった。人がわざわざ南部から持ってきた食糧を、なんだと思っているのか。このまま腐らせるわけにはいかないわ。
「いいのよ。南部の両親も、定期的に食糧を送ってくれる約束をしたし。不足したら、また送ってもらうわ」
ロゼールがゴクリと喉を鳴らした。
「そして残りの皆さんは、ここを掃除して欲しいの。今すぐ使えるように」
幸い、清掃道具も残っていた。
「食器も鍋も椅子もテーブルも全部よ!」
「本当に食堂をなさるのですか……?」
ロゼールは訝しむ表情を向ける。
「そうよ。私は嘘をつかないわ」
口に手をあて、うふふと笑う。
ロゼールは顔をひきつらせた。
「そのために人を集めてもらったんだから」
ロゼールは半信半疑だったようで、絶句している。
「ここに運び込む食糧が尽きたら、どうなさるのです?」
「言ったでしょ、そしたらまたお父さまに送ってもらうって」
親に甘えているかもしれないが、父にはそれだけの経済力がある。
「かじれる時に、かじりましょう、お父さまの脛は!」
この際、やせ細って骨になるまでいかせていただくわ。
まあ、もっともそのぐらいでセバスティア侯爵家の財力が傾くとは思ってはいない。
「最初に街に来た時に思ったのだけど、結構貧富の差があるのではなくて? 毎日の食事に困っている人々がいるなら、安定した食事の供給が必要よ。たとえ一食でも、毎日必ず食べられると思うと、心の支えになると思うの」
毎日お腹を空かせていては、食べる物のことだけで頭の中はいっぱいだろう。
それに路地裏にはトビーと同じぐらいの年齢の子が、たむろしているのが気になった。
「食堂を開くことによって、人を雇えるじゃない。賃金が発生するわ」
「その賃金は……」
「もちろん、私が払うわよ」
ロゼールを前にして胸を張る。
「こう見えても私、結構お金持ちなんだから。持参金をすべて使っても構わないわ」
万が一資金が不足したら、父が送金してくださるはずだ。それに北部との良好な関係を保ち、目的を果たすことができたのなら、炊き出しなどと比にならない功績を手にすることになる。
だからこそ父は、私の北部での活動を全面的に支援するはずだ。
「さあ、ボーッとしている時間がもったいないわ! 今日から炊き出しを開始するから!」
「今日ですか!?」
「ええ、そうよ。早く準備に取り掛かりましょう」
その時、黙ってことの成り行きを見守っていた、一人のいかつい男性がズイッと前に出た。
「話を聞かせてもらってたんだが――」
強面な男性がいきなり私と距離を詰めたので、ロゼールが私の前に出た。
ドリーもいつでも飛び出せるよう、身構えているのがわかった。
にっこり微笑み、テキパキと指示を出す。
「力のある男性、そうね、三人ぐらいでいいかしら」
そのぐらいの人数であれば、ひとまず足りるだろう。
「ロゼール」
「はっ、はい」
「まず、あなたは馬車でこの三人と屋敷に戻って。そして貯蔵庫にある食料を積んで、またここに戻ってきて」
「い、いったい、なにをなさるおつもりですか?」
いまいちピンときていないロゼールに微笑む。
「私と一緒に南部から運ばれてきた食糧よ。屋敷で使わないのなら、腐らせる前にここで使うわ!」
「そ、それはいけません!」
ロゼールが難色を示した。
「あら、それはどうして?」
「屋敷の物を勝手に動かしてはいけません。イザーク様に許可を取りませんと!」
「大丈夫よ。彼から許可なんて必要ない」
そうよ、彼は食糧をどうにかする気はなさそうだった。人がわざわざ南部から持ってきた食糧を、なんだと思っているのか。このまま腐らせるわけにはいかないわ。
「いいのよ。南部の両親も、定期的に食糧を送ってくれる約束をしたし。不足したら、また送ってもらうわ」
ロゼールがゴクリと喉を鳴らした。
「そして残りの皆さんは、ここを掃除して欲しいの。今すぐ使えるように」
幸い、清掃道具も残っていた。
「食器も鍋も椅子もテーブルも全部よ!」
「本当に食堂をなさるのですか……?」
ロゼールは訝しむ表情を向ける。
「そうよ。私は嘘をつかないわ」
口に手をあて、うふふと笑う。
ロゼールは顔をひきつらせた。
「そのために人を集めてもらったんだから」
ロゼールは半信半疑だったようで、絶句している。
「ここに運び込む食糧が尽きたら、どうなさるのです?」
「言ったでしょ、そしたらまたお父さまに送ってもらうって」
親に甘えているかもしれないが、父にはそれだけの経済力がある。
「かじれる時に、かじりましょう、お父さまの脛は!」
この際、やせ細って骨になるまでいかせていただくわ。
まあ、もっともそのぐらいでセバスティア侯爵家の財力が傾くとは思ってはいない。
「最初に街に来た時に思ったのだけど、結構貧富の差があるのではなくて? 毎日の食事に困っている人々がいるなら、安定した食事の供給が必要よ。たとえ一食でも、毎日必ず食べられると思うと、心の支えになると思うの」
毎日お腹を空かせていては、食べる物のことだけで頭の中はいっぱいだろう。
それに路地裏にはトビーと同じぐらいの年齢の子が、たむろしているのが気になった。
「食堂を開くことによって、人を雇えるじゃない。賃金が発生するわ」
「その賃金は……」
「もちろん、私が払うわよ」
ロゼールを前にして胸を張る。
「こう見えても私、結構お金持ちなんだから。持参金をすべて使っても構わないわ」
万が一資金が不足したら、父が送金してくださるはずだ。それに北部との良好な関係を保ち、目的を果たすことができたのなら、炊き出しなどと比にならない功績を手にすることになる。
だからこそ父は、私の北部での活動を全面的に支援するはずだ。
「さあ、ボーッとしている時間がもったいないわ! 今日から炊き出しを開始するから!」
「今日ですか!?」
「ええ、そうよ。早く準備に取り掛かりましょう」
その時、黙ってことの成り行きを見守っていた、一人のいかつい男性がズイッと前に出た。
「話を聞かせてもらってたんだが――」
強面な男性がいきなり私と距離を詰めたので、ロゼールが私の前に出た。
ドリーもいつでも飛び出せるよう、身構えているのがわかった。