ワンナイト限りの割り切り関係に「もう一度」は無粋です! ~正反対な私たちは今日も意見が合いません~
ビル街の隙間を抜ける風は思ったより冷たく、思わずコートの前を掻き合わせた。駅前へ近づくにつれ、飲食店から漂う油の匂いと賑やかな呼び込みの声が混ざり合う。居酒屋の提灯、コンビニの白い灯り、足早に改札へ吸い込まれていくスーツ姿の群れ。見慣れたはずの光景なのに、今日は妙に騒がしく感じた。
改札を抜け、ホームへ下りる。ちょうど滑り込んできた電車に乗り込めば、車内には1日の疲れを滲ませた空気が満ちていた。吊革を掴みながら窓の外へ目を遣ると、黒く染まり始めたガラスに自分の顔がぼんやり映った。明らかに疲労の滲んだ顔。少なくとも、月曜日にする顔ではないと自分でも思ってしまうほどだった。
(……ほんと最悪)
小さく胸の内で毒づく。
あんな再会さえなければ、きっと今日も何事もなく終われたのに。
やがて最寄駅に到着し、人の流れに押し出されるようにホームへ降り立った。改札を抜けた瞬間、夜気がじわりと頬を撫でる。
「お疲れさまでした」
「お疲れ~。また明日ね」
同僚と別れ、最寄駅から自宅へと続くいつもの道。夜の帳が下り始めた街並みは、あの日彼と歩いた夜を嫌でも思い出させた。冷たい夜気が肌を刺すたび、あのホテルの静寂やバスローブ越しに感じた熱がふわりと蘇ってくるようで、私は無意識に歩を早めてしまった。
(いつもだったら、翌日にはさっぱり忘れてるはずなのに)
予想外の再会が私の歯車を狂わせてくる。それがどうしようもなくしんどくて、重苦しい。
「はぁ……やめやめ。どうせ風間さんもそのうち飽きるでしょ」
自分に言い聞かせるように小さく零した独り言は、湿り気を帯びた夜風にさらわれて虚しく消えていった。当然、それに答えてくれる人などどこにもいなかった。
改札を抜け、ホームへ下りる。ちょうど滑り込んできた電車に乗り込めば、車内には1日の疲れを滲ませた空気が満ちていた。吊革を掴みながら窓の外へ目を遣ると、黒く染まり始めたガラスに自分の顔がぼんやり映った。明らかに疲労の滲んだ顔。少なくとも、月曜日にする顔ではないと自分でも思ってしまうほどだった。
(……ほんと最悪)
小さく胸の内で毒づく。
あんな再会さえなければ、きっと今日も何事もなく終われたのに。
やがて最寄駅に到着し、人の流れに押し出されるようにホームへ降り立った。改札を抜けた瞬間、夜気がじわりと頬を撫でる。
「お疲れさまでした」
「お疲れ~。また明日ね」
同僚と別れ、最寄駅から自宅へと続くいつもの道。夜の帳が下り始めた街並みは、あの日彼と歩いた夜を嫌でも思い出させた。冷たい夜気が肌を刺すたび、あのホテルの静寂やバスローブ越しに感じた熱がふわりと蘇ってくるようで、私は無意識に歩を早めてしまった。
(いつもだったら、翌日にはさっぱり忘れてるはずなのに)
予想外の再会が私の歯車を狂わせてくる。それがどうしようもなくしんどくて、重苦しい。
「はぁ……やめやめ。どうせ風間さんもそのうち飽きるでしょ」
自分に言い聞かせるように小さく零した独り言は、湿り気を帯びた夜風にさらわれて虚しく消えていった。当然、それに答えてくれる人などどこにもいなかった。