ワンナイト限りの割り切り関係に「もう一度」は無粋です! ~正反対な私たちは今日も意見が合いません~
 1人きりの浴室で、熱いシャワーを浴びながら考える。彼は私に何を求めているのだろう。
 この丁寧な扱いは、単なる彼の性格なのか。それとも、紳士的に振る舞うことで相手の警戒心を解くという、計算されたテクニックなのか。

(ま、どちらにせよ絆されることはないけど)

 キュッという音と共にシャワーを止め、温まった肌にタオルを当てる。ふわふわとした質のいいタオルは、私の無粋な思考を水ごと吸い取ってくれるような気がした。

 一通り鏡で自分の容姿を確認してから、用意されていたバスローブに身を包む。髪を軽く結い直してから部屋に戻ると、彼はグラスに注いだミネラルウォーターを飲んでいた。

「おや、早かったですね。おかえりなさい」
「お先にありがとうございます」
「いえいえ。温まりましたか?ああ、部屋は寒くないですか?」
「ありがとうございます。大丈夫ですので、お気遣いなく」

 彼は目線で隣に座るよう促し、目の前でミネラルウォーターを注いでくれた。座った私に、そのままグラスを渡してくれる。こんな所作1つとっても、リョウさんの動きは淀みなく洗練されているように感じた。

「良かったらどうぞ。僕もシャワーいただきますね」

 そう言い残し、彼はバスルームへと消えて行った。
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