Automatic Love
Episode.1
このご時世「サービス」と言う名の商品はごまんとあるけれど。
正直なところ、こればかりは体験しないと価値は実感できない。
普段から仕事の業務でしか話さない彼女が口にしなかったら、私は恐らく永遠に「彼」とは出会ってはいなかっただろう。
それくらい、「彼氏」なんて、私と御縁のない世界に思えたから―――。
✦
「これ、お願いします」
午前も11時半に差し掛かった頃、私に対して背後から声を掛けてくる女子社員の姿があった。
配属されて1年が経つ「仕事が早くて出来る」と名の通った道部さんだ。
下の名前は…確か、咲さんだったかな。
新商品の会見用の資料データ。
プレスリリース用の投げ込み書類の資料を渡された私は、少し間の抜けた声を漏らすと、その書類を受け取っていた。
私は彼女より2年先輩だと言うのに、まるで同僚か後輩のような空気を垂れ流している。
不意に、道部、と声がかかり、彼女は斜め真後ろを振り返る。
「道部、昼飯、後で立川と俺と仙崎と行かね?」
どうやら食事のお誘いらしい。
彼女はその口調に何の感情も乗せることなく、はい、と答えている。
そんなやり取りを聞くでもなく耳に拾いながら、私、蒲田陽茉莉こと陽茉莉はデスクでノートパソコンのキーボードを叩いていた。
正直なところ、こればかりは体験しないと価値は実感できない。
普段から仕事の業務でしか話さない彼女が口にしなかったら、私は恐らく永遠に「彼」とは出会ってはいなかっただろう。
それくらい、「彼氏」なんて、私と御縁のない世界に思えたから―――。
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「これ、お願いします」
午前も11時半に差し掛かった頃、私に対して背後から声を掛けてくる女子社員の姿があった。
配属されて1年が経つ「仕事が早くて出来る」と名の通った道部さんだ。
下の名前は…確か、咲さんだったかな。
新商品の会見用の資料データ。
プレスリリース用の投げ込み書類の資料を渡された私は、少し間の抜けた声を漏らすと、その書類を受け取っていた。
私は彼女より2年先輩だと言うのに、まるで同僚か後輩のような空気を垂れ流している。
不意に、道部、と声がかかり、彼女は斜め真後ろを振り返る。
「道部、昼飯、後で立川と俺と仙崎と行かね?」
どうやら食事のお誘いらしい。
彼女はその口調に何の感情も乗せることなく、はい、と答えている。
そんなやり取りを聞くでもなく耳に拾いながら、私、蒲田陽茉莉こと陽茉莉はデスクでノートパソコンのキーボードを叩いていた。
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