苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
ひとまず自分の席へと戻るけれど、課長の様子が気になって仕方がない。状況次第では、何らかの責任を追及されてしまうかもしれない。
周囲の声も雰囲気が悪くなってきた。給湯室では、Bチームの女性二人がしている会話が耳に入る。
「藤生課長の企画案の指摘、細かすぎるっていう声は前から上がってた」
「でも、クライアントには喜ばれてるから」
「部長との対立がこっちまで飛び火しないかって不安だよ。旧体制から睨まれると何されるか、分かんないし」
どうやら周囲としては、部長との関係を荒立てたくはないらしい。そのため、すっかり課長のことが悪者になっていた。
何か自分にできることはないだろうか。それとなく志田さんに相談することにした。
「確かにね。今は企画開発本部全体に暗雲が漂ってる。でも、今回のは別チームの話だし、扱うものによってはコンセプトが違うから簡単には……。とにかく、できることは手伝いますってAチームのリーダーには伝えておくよ」
「お願いします」
重たい空気を振り払うように、息を吐いた。
終業時間が過ぎ、残っていた業務を済ませる。仕事が終わり、課長の席を覗くけれど、忙しいのか姿が見えない。
明日は土曜日。きっと色々なことで頭を悩ませ、週末だってゆっくりできないだろうな。