苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
Aチームのメンバーも刷新され、天野さんとは時々ランチタイムを一緒に過ごすようになった。気軽な相談相手が増えたことは、とても心強い。
今日は年末と週末が重なるタイミングで、仕事の忙しさが増している。
一日中、時間に追われ、ようやく仕事が片付くと、業務の終わりが見えてくる。パソコンにかじりついている最中、志田さんに声を掛けられた。
「明ちゃん、終業時間だよ~。今夜はクリスマスだし、先に上がるね」
「うん。お疲れ~」
私も今夜は特別な予定が入れてある。
作業ファイルを確認し、パソコンの電源を落とす。バッグを掴むと、陽貴さんとの待ち合わせ場所へ向かう。終業時間までに仕事が終わることを想定して設定したはずなのに、結局ギリギリになってしまった。
地下鉄で電車に揺られ、目的地のターミナル駅に到着する。早足に商業ビルへと急ぎ、エントランスを抜けると、ちょうど広めのエレベーターが、口を開いて待っていることに気付いた。誰も乗っていないのを確認し、慌てて乗り込む。扉を閉めてスマホを取り出し、時間を確認した。
よかった。何とか間に合いそう……。
最上階へ到着し、扉が開いたところで、さっそく大きな一歩踏み出す。