苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~


 びくっとして、ベッドがバウンドした。陽貴さんの瞳が、こちらを射貫くように見つめている。

「いえ。別に……」
「言いたいことをすぐに伝えないところは、いい点でもあるし、悪い点でもあるな」

 すぐに本音が伝えられないのは相変わらずだ。

「そんなこと、分かってます……。でも、ずっとそうやって育ってきたので、すぐには変えられなくて」

「面接の時の印象、今もそのままだ。常に我慢強くて、よく俺の圧に堪えてた。子どもの頃に言えなかった分、俺の前では本音を話してほしい」

「あの……、まだメンターとしての役割、継続してもらえますか?」
「もちろん。だから、今日はとことん本音を聞き出して、きっちり看病させてもらう」

 彼は私の頬に軽くキスをすると、すぐにキッチンに立った。
 しばらくして、彼は美味しそうな香りの朝食と共に現れると、ベッドまで運んでくれた。目の前に置かれたトレーには、カフェオレと、クロワッサンに、ミモザサラダまである。

「すごい! 陽貴さん、こんなの作れるんですか?」
「学生時代に東京へ出て、かなり長い間、一人暮らしをしているからな」

 まだまだ彼について知らないことがたくさんある。今日は一日中、陽貴さんの顔を見ながら、ゆっくり聞いて過ごそう。コーヒーの香りに包まれ、二人だけの休日が過ぎていく。




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