苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「はい……。無理に動かしたり、触らなければ、大丈夫……みたいです」
彼の手が私の肩へ伸ばされ、さらに顔を近付ける。そして唇が触れるほど距離が縮まり、低音でそっと呟いた。
「できるだけ優しく扱うよ。それなら、俺のベッドへ連れて行っても構わないか?」
「……ん」
尋ねられたことに頷いている最中、唇が触れ、幾度となく重なり合う。ベッドへ辿り着く前に、二人でソファーへ倒れ込んだ。
スタンドライトの灯りが二人を照らし、夜の景色に滲んだまま、ゆっくりと溶けていく。
瞼を開けるとベッドの中、窓からは陽の光が差し込んでいた。すぐ隣には、整った横顔が見えて、思わず頬が緩んできてしまう。
そうだ。昨夜は陽貴さんの部屋に泊まったんだった……。
こんなに近くで眺めてもいいなんて、何だか特権のような気がする。
その眺めにうっとりして、瞬きもせずに彼の顔を見つめた。
少し前まで苦手だったはずの人が、今ではすっかり、いつまでも追いかけていたい人になっている。
もっともっと、彼のことを知りたい。こんなに夢中になってもいいのだろうか……。
ふと昨夜のことを思い出し、熱が上がりそうになった。ベッドの中で何度も名前を呼ばれ、「ずっと見つめさせて」と囁かれて。耳の奥でその余韻が残り、二人の場面が頭をかすめる。
「何をニヤニヤしてる?」