苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「そうだ。こういった頭痛には、カフェインが良くないらしい。食後はコーヒーではなく、ホットミルクをオーダーしておいたから」
「はい……ありがとうございます」
そんなところまで気を回してくれているなんて。案外、色々なことに気遣いを見せてくれる細やかなタイプなのだろうか?
もし、課長が恋人になったとしたら、隅々までデートプランを考え抜き、とことん楽しませてくれるのかな……。
頭の片隅には、キリリとした目つきの課長が私へ手を差し伸べる姿が浮かんだ。そんな不真面目な妄想が過り、一人勝手に恥ずかしくなり、悶えそうになる。
まさか、課長が恋愛対象だなんて……そんなのムリムリ。
ふと気付くと、冷めた目線がこちらを見つめている。
「どうした? 一人で笑顔を浮かべて。何か楽しいことでもあったのか?」
「あっ。い、いえいえ。別に何でもありません……」
慌てて撤回して、視線を逃れた。
これから先、メンターとしてどうやって心を開くべきか。難題が目の前に積まれ、すぐに答えが出せそうもない。
それから飲み物が運ばれて、結局、話題は差支えのない普段の業務のことばかりに終始した。