苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
「今後は数週間に一度はこういう機会を定期的に設けて、お互いの意見を交換したいと考えている」
「えっ?」
反射的に声が出てしまい、思わず顔を上げる。私の顔を見て、課長が怪訝そうな表情を浮かべた。
「どうした。何か問題でも?」
「定期的に……ですか」
「メンターとしては必要なことだ。ただ、社内のミーティングスペースでは緊張すると思い、こうして外へ誘った」
課長の言い分はもっともだった。確かに会社から距離を取る方が、緊張しないでフランクに話せるかもしれない。でも、私は場所の問題じゃなくて、相手が課長だから緊張するわけで……。ひとまず、今は相槌を打っておくしかない。
「確かに……そうですよね」
頬を緩めながら、不自然な笑みを浮かべる。
「何かあったら気軽に相談してほしい」
「はい。そうします」
相変わらず固い言い回しにぎこちなさを覚えるけれど、課長の誠実さは伝わる。週末に助けてもらった彼の態度は、とても真剣だった。
だけど、定期的にこうして面と向かい合うことになると……。
不意に電車内で課長の腕に守られている自分の映像が浮かび、慌ててかき消す。
ぷるると頭を軽く振ると、心配そうにしている彼の目線と重なった。