苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
親しい女性? 年上のロングヘアー? モテる? 人気?
そう……だよね。
課長は一見冷酷そうに見えて実は誠実で、いざという時には頼りになる人だ。電車内で自分を助けてくれた彼の姿は、今でも忘れられない。だから、彼女が存在していたとしても、何もおかしくはない。
そんな女性の出現に胸のざわつきを覚えるのは、きっと課長の違う一面を、少しだけ知ってしまったからだ。
きっと彼がメンターという立場になったことで、言葉を交わし、もっと知ろうとする意識が生まれたことで、興味が湧いたからで……。
――と、自分の中にある未知の感情に理由を探ってみる。けれど、本当のところは分からない。なぜ、こんなにも課長のことが気になるのか……。
普段はたいして気にならない噂が、今回ばかりはどうしても頭から離れない。
午後は販売統括課との連携会議が行われ、課長が意見をする度に、先ほどの噂が頭の中を空回りしていた。
すっかり集中力を欠き、時間ばかりが過ぎていく。自分の席に戻り、何とか入力作業を済ませた。