苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
酔いがまだ残っているのか、それとも今夜の会話が弾んだ分、彼女に興味を抱いたからか。やはり、少し踏み込み過ぎなのだろう。
ふと、今夜芦原が目の前で言った言葉が蘇る。
「違います! 課長がストレスの原因でああなったんじゃありません」
真剣な眼差しで伝えるその姿は、本心から言っているように思えた。距離感が近付き、以前よりは違和感なく接してくれている。
今後は部下の一人として、どこまで芦原をサポートできるかだ。ただ、彼女のことをできるだけ見守り、自然な笑顔を引き出せればそれでいい。
――何だか、きれいごとばかり並べてるな。
自分に対してどこかカッコつけのように思え、タオルで濡れた髪を乱雑に拭く。とにかく、明日はいつも通り、課長の顔をして彼女の前に立つだけだ。