苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
上から期待されて過ごす日々と、部下をまとめて行かなくてはならない責任感。
周囲からは何事もそつなくこなすように見えるが、本当はとても不器用な人間だ。
もっと素直に自分の感情が伝われば、その関係性も変わるのだろうか……。
それからメンターという役割を得て、彼女のメンタルがいっそう気になった。
*
いきなりスマホの着信音が鳴り、意識が現実へと引き戻される。メッセージが表示され、井口の名前が目に入った。
《最近、調子どう? あれから、茜ちゃんといい雰囲気でさぁ。超ハッピー……》
「――って。何の話だ!?」
途中まで読み、呆れてスマホを投げつけたくなる。順調なら、いちいち連絡を寄こさないでくれ。それに、茜って……。
記憶を辿り、芦原の友人の名を思い出す。友人とはいえ、まるで違う人種のように思えた。そして、井口と芦原の友人はタイプが似ている。
「だからあの二人、気が合ったのか……」
そう呟き、同時に芦原のことを思い浮かべる。
確かにタイプは違うな。芦原はもっと落ち着いていて、魅力的な考えを持った……。
そう考えている途中、これ以上の追求はシャットアウトした。