勘違いだらけの契約婚
教会のある丘の上に立ち、息を整えながら眼下を見下ろす。
街は白い霧に覆われていた。つい先ほどまで目にしていた街並みも、まるで幻のように掻き消えていた。
その中で、ひときわ濃く、大きな影がゆらゆらと揺らめいている。
目を凝らすほどに、霧の奥から異様な輪郭がじわりと浮かび上がってきた。
「見えたわ。あれが、邪龍……」
閉ざされた霧から姿を顕現させたのは、禍々しい邪気を放つ古代龍だった。
黒い鱗は艶を失い、長い胴体をずるずると引きずり、周囲に毒の息を巻き散らかしている。口元からもれた唾液が土壌を瞬く間に腐敗させていく。緑の芝生は赤茶に変色し、草木が驚くべき速さで死に絶えていった。
(なんて濃い邪気……。こんなもの、これ以上広げるわけにはいかない)
ミリアリアは両手を目の前に突き出し、指先をクロスさせて構えた。
まずは街を守る守護結界のほころびを修復させなければ。
深く息を吸い、細く吐き出す。目を閉じて、指先に意識を集中させる。手のひらに魔力を集めると、じんわりと熱が宿るような感覚が広がった。焦らずに、ゆっくりと。糸を紡ぐように繊細に。
風の球体を作るように、魔力の塊を形にしていく。
街は白い霧に覆われていた。つい先ほどまで目にしていた街並みも、まるで幻のように掻き消えていた。
その中で、ひときわ濃く、大きな影がゆらゆらと揺らめいている。
目を凝らすほどに、霧の奥から異様な輪郭がじわりと浮かび上がってきた。
「見えたわ。あれが、邪龍……」
閉ざされた霧から姿を顕現させたのは、禍々しい邪気を放つ古代龍だった。
黒い鱗は艶を失い、長い胴体をずるずると引きずり、周囲に毒の息を巻き散らかしている。口元からもれた唾液が土壌を瞬く間に腐敗させていく。緑の芝生は赤茶に変色し、草木が驚くべき速さで死に絶えていった。
(なんて濃い邪気……。こんなもの、これ以上広げるわけにはいかない)
ミリアリアは両手を目の前に突き出し、指先をクロスさせて構えた。
まずは街を守る守護結界のほころびを修復させなければ。
深く息を吸い、細く吐き出す。目を閉じて、指先に意識を集中させる。手のひらに魔力を集めると、じんわりと熱が宿るような感覚が広がった。焦らずに、ゆっくりと。糸を紡ぐように繊細に。
風の球体を作るように、魔力の塊を形にしていく。