勘違いだらけの契約婚
自分を励まし、霧の向こうで蠢く巨大な影を見据えた。
こうしている間にも邪気は広がり、濃霧の色が黒く変色していく。大地が汚染されていく。早くしなければ、また結界にほころびが出るかもしれない。
よどんだ空気の中、ミリアリアは魔力核を形成し、ありったけの魔力を注ぎ込む。空中に浮かび上がる幾何学模様は、古い文献で読んだ風属性の大規模結界術式だ。
「風の大精霊よ。我が意に従い、邪悪なる存在を囲いし檻となれ……ッ」
詠唱を終えると、解き放たれた風の刃が四方へと走る。魔方陣が輝きを増し、空中に透明な檻を描いていく。
その最中、霧の一角が吹き払われた。
霧が裂けて、黒い靄をまとう古代龍の濁った瞳がこちらを射抜いた。距離は遠く離れているのに、ギロリと睨まれて身がすくむ。邪龍が咆哮し、空気が揺れる。ミリアリアが発動した檻の完成を阻もうと空を泳ぎ、展開した魔方陣に向かって、凶暴な口をぐわっと開く。
だが瘴気にまみれた刃が届くより数秒早く、檻が完成した。渦巻いた風が鎖のように、邪龍の周囲に絡みついて動きを封じる。
(捕らえた……!)
こうしている間にも邪気は広がり、濃霧の色が黒く変色していく。大地が汚染されていく。早くしなければ、また結界にほころびが出るかもしれない。
よどんだ空気の中、ミリアリアは魔力核を形成し、ありったけの魔力を注ぎ込む。空中に浮かび上がる幾何学模様は、古い文献で読んだ風属性の大規模結界術式だ。
「風の大精霊よ。我が意に従い、邪悪なる存在を囲いし檻となれ……ッ」
詠唱を終えると、解き放たれた風の刃が四方へと走る。魔方陣が輝きを増し、空中に透明な檻を描いていく。
その最中、霧の一角が吹き払われた。
霧が裂けて、黒い靄をまとう古代龍の濁った瞳がこちらを射抜いた。距離は遠く離れているのに、ギロリと睨まれて身がすくむ。邪龍が咆哮し、空気が揺れる。ミリアリアが発動した檻の完成を阻もうと空を泳ぎ、展開した魔方陣に向かって、凶暴な口をぐわっと開く。
だが瘴気にまみれた刃が届くより数秒早く、檻が完成した。渦巻いた風が鎖のように、邪龍の周囲に絡みついて動きを封じる。
(捕らえた……!)