勘違いだらけの契約婚
(す、すごすぎます……)

 霧がすっかり晴れ渡り、太陽の光が地表を優しく照らし出す。
 重く張り詰めていた空気も和やかなものになり、いつもの日常が戻ってきた。安心したミリアリアは結界を解除し、疲れひとつ見せない夫を尊敬の眼差しで見つめた。

「ミリアリア。君のおかげで邪龍を消滅させられた。礼を言う」

 ユージーンはそう言って胸に手を当て、頭を下げた。
 彼なりの最大限の感謝の表れだったのかもしれないが、ミリアリアにとっては非常に胃がキリキリする光景だった。「あ、頭を上げてください……! お願いですから!」と悲鳴じみた声を上げると、侯爵家当主は素直に従った。
 公の場で、彼になんという真似をさせてしまったのか。少し離れた位置から見守っていた騎士団から、ざわめきの気配がしている。
 なんてことだ。己の罪深さを呪う。確実に、数年分の寿命が縮まった気がする。
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