追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
 旭の部屋からは夜な夜な泣く声がする。気になって覗くと姫の手紙を読んでいた。達筆すぎて藍には読めないが、懐かしく、切ない気持ちになった。

何よりも、恋しい気持ちが募って、旭を抱きしめていた。生きている喜びを感じて、2人は自然と抱き合い。お互いを求めて気がつくと、ベッドの中で朝を明かしていた。

体を重ねるごとに、報われた思いがする。もうお互いを離さないと言う気持ちで、いっぱいになったのだ。

 最終章を書くときの旭は慎重になった。自分の知らない白藍の姫の物語だからだ。手紙を何度も読み返して、姫の気持ちを想像した。

旭を愛しているのは変わらないが、子供への愛は旭に想像もつかない。白藍の姫が大人になって、母性が芽生え、守ろうとしていた。

正室や側室のただならない仕打ちは耐えがたい。当主の寵愛がすぎると、窮地に陥ることもあった。白藍の姫は子供が次期当社になることを拒んでいた。

もしも自分が死ねば子供を守る術がないのだ。せめて子供だけは政権争いで命を落として欲しくない。平凡で平和な日々を過ごして欲しい。

だが結局、白藍の望みは叶わず、その子供が当主になる道を歩むことになった。それは当主の愛が深すぎたせいだった。

 旭はその当主に妬いていた。また何故、愛しているなら白藍の姫が寿命をすり減らす、魔の手から守ってやれないのか、腹立たしかった。

そこで旭は悲劇では終わらせず、生まれ変わった2人の出会いまで書く決心をした。この物語はハッピーエンドで終わらせたいのだ。
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