追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
 それからの旭は寝る間も惜しみ執筆した。体を壊すなのではないかと藍が心配する程だった。

その奮闘もあって、小説雑誌の連載の反応は上々だった。読者のファンレターの山で分かる。好評さはワイドショーなどの話題の本で取り上げられるのだった。


読者の心を引くのは、白藍の姫の境遇が、その時代に女性としての生き辛さを知るきっかけとなった。

歴史に興味を持つ女性が増えたのだ。まさに歴女の存在が今まで以上にブームになった。

 そして最終章の下が発売された。本の予約は殺到して、総計は何百万本も売れてベストセラーとなった。そして映画化にする大手の会社も決まった。

 やっと、この小説から手が離れると、旭は肩の荷を降ろしたようだった。収穫は藍との未来が見えたこと。それは、あの頃の約束と白藍の姫との愛の決着がついたことだ。

だが、少し抜け殻にもなった。心をすり減らして書いた軍身の作品だからなのかもしれない。

そこで藍は旭を労った。美味しい物を食べ、好きなだけ睡眠を取るように、居心地の良い場所を作る。そのお陰で、まだまだ成長期なのか、たくさん食べて、死んだように眠ることが出来た。

そして、時々、藍を優しく抱いた。愛しい眼差しで藍を見つめた。有り余る幸せだ。お互いに求められる幸せを感じていた。ふたりの愛は深く、心が満たされていくのだった。

 それは何もない平穏な日々が幸せなのだと。乱世を生きてきた旭だからこそ、実感していたのだ。
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