追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
藍はその手を両手で優しく包み込み握りしめた。すると、また弱い力で握り返したことを見逃さなかった。
医師を呼ぼうと手を離そうとした。旭は強く手を握り藍を引き寄せた。
「旭」
「僕はどうなった?」
「生きてる。手術はうまくいったから元気になる」
「よかった。やっと会えたのに、また振り出しに戻ったと思った」
「何、振り出しって?私を1人にしないでよ。死んだら、許さないから」
「僕の上着どこにある?」
「上着?あ、ここにある」
藍はベッド近くの洋服をかける棚の扉を開けて、パーティーで着ていた上着を見せた。
「左ポケットの小さい箱だして」
ハンガーにかかったまま、上着のポケットに手を突っ込んで、箱を探り出した。それは指輪のケースだと直ぐに分かった。手にしただけで喜びを感じたのは初めてだ。
「開けて」
開けてみると、とびっきり輝くダイヤの指輪があった。旭にとっては前に渡しそびれた指輪だった。藍は嬉しさのあまり泣き出した。
「泣かないで、指輪をはめてみて」
「うん、ありがとう」
藍は指輪を左手の薬指にはめた。それを旭に見えるように、芸能人が結婚発表の時にするように、顔の横に手をあげてみせた。旭は喜んだ。
「よかった。サイズぴったりで、合わなかったらカッコつない」
「もう今日じゃなくて違う日でよかったのに。指輪を自分でつけるなんて、そんなセルフサービスってある?」
「今じゃないと、いい返事くれないような気がして」
「そんなことない」
「それにもう待ち切れない」
藍は嬉しさのあまり旭に抱きついた。
「痛たたた」
「ごめん、大丈夫?」
「大丈夫。ねぇ白藍、僕の奥さんになってください」
「はい、よろしくお願いします」
「これからは、ずっと一緒だから、もう離さない」
藍は頷いた。
旭は念願の夫婦になる夢を果たせる嬉しさに、寝たまま、藍を抱きしめ離さなかった。
一途な思いが叶えられたのは、繰り返す困難を乗り越えることで、成し遂げたと思っている。
背中の傷は、あの時の最後と同じだった。前世から引き継いだ試練だ。それは今まさに達成した。
だからこそ今世で2人の人生が今、始まると実感した。今度こそ幸せにしたい。そして藍とのはじまりの物語を紡いでいける人生に感謝した。
終わり
医師を呼ぼうと手を離そうとした。旭は強く手を握り藍を引き寄せた。
「旭」
「僕はどうなった?」
「生きてる。手術はうまくいったから元気になる」
「よかった。やっと会えたのに、また振り出しに戻ったと思った」
「何、振り出しって?私を1人にしないでよ。死んだら、許さないから」
「僕の上着どこにある?」
「上着?あ、ここにある」
藍はベッド近くの洋服をかける棚の扉を開けて、パーティーで着ていた上着を見せた。
「左ポケットの小さい箱だして」
ハンガーにかかったまま、上着のポケットに手を突っ込んで、箱を探り出した。それは指輪のケースだと直ぐに分かった。手にしただけで喜びを感じたのは初めてだ。
「開けて」
開けてみると、とびっきり輝くダイヤの指輪があった。旭にとっては前に渡しそびれた指輪だった。藍は嬉しさのあまり泣き出した。
「泣かないで、指輪をはめてみて」
「うん、ありがとう」
藍は指輪を左手の薬指にはめた。それを旭に見えるように、芸能人が結婚発表の時にするように、顔の横に手をあげてみせた。旭は喜んだ。
「よかった。サイズぴったりで、合わなかったらカッコつない」
「もう今日じゃなくて違う日でよかったのに。指輪を自分でつけるなんて、そんなセルフサービスってある?」
「今じゃないと、いい返事くれないような気がして」
「そんなことない」
「それにもう待ち切れない」
藍は嬉しさのあまり旭に抱きついた。
「痛たたた」
「ごめん、大丈夫?」
「大丈夫。ねぇ白藍、僕の奥さんになってください」
「はい、よろしくお願いします」
「これからは、ずっと一緒だから、もう離さない」
藍は頷いた。
旭は念願の夫婦になる夢を果たせる嬉しさに、寝たまま、藍を抱きしめ離さなかった。
一途な思いが叶えられたのは、繰り返す困難を乗り越えることで、成し遂げたと思っている。
背中の傷は、あの時の最後と同じだった。前世から引き継いだ試練だ。それは今まさに達成した。
だからこそ今世で2人の人生が今、始まると実感した。今度こそ幸せにしたい。そして藍とのはじまりの物語を紡いでいける人生に感謝した。
終わり


