追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
 秀子はどうしても2人の思いを結びつけたいと思った。秀子にとって親愛なる2人だからこそ。

「まあまあ、私が見えていないようね。今思ったんだけどシェアハウスにしたら、佐藤先生がオーナーで家賃を取ればいいじゃない。これで解決ね」
「でも、それは私ばかりが得をします」
「いいじゃない。困っているなら、こんな時に甘えちゃいなさい」
「さすが、遠西寺先生だ。良い案出してくれました。友達に電話してシェアハウスのこと提案します。じゃあ大林さん必ず僕の家に帰ってきて」

旭は秀子に握手して言う。

「遠西寺先生ありがとうございます。またいろいろ相談してもいいですか?」
「勿論よ」
「本当にありがとうございます」

そう言い終わると会議室から急いで出て行った。後に残された藍は、あまりにも早い展開について行けず、呆気にとられた。秀子は旭の素早い行動に、また笑い出した。

「佐藤先生って、あんなに情熱的だったのね。冷静で大人びたところばかり見せていて、秘めた情熱が溢れ押し寄せてくるみたい」
「先生、そんな悠長なこと言って。私、どうしたらいいんですか?」
「迷うことないわよ。行きなさいよ。彼は頼もしいわ。こんな機会、二度とないわよ」
「でも…」
「原稿を書いて欲しいんでしょ。行くと素晴らしい物語が始まるわよ」

藍に1番触れるとなびく、原稿と言う言葉を使って、行くという選択肢を選ばせた。自分から飛び込まないと何も始まらない。

自分の道は自分で進む他ないことを、その一歩を後押ししたのだ。
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