追想と翼望(ついそうとよくぼう)君がいるから僕の時間が動き出す
岡田がリビングのインターホンの映像を覗くと、帽子を深くかぶった男がいた。

「なんだよ。何か取り寄せたっけ?」

扉を開けると旭と制服を着た警察官2人が入ってきた。岡田は慌てて言った。

「なんですか?」
「監禁されていると通報したんだよ」旭が言う。
「調べさせてもらいます」警察官が厳しい声で言った。
「何もない。同棲している婚約者がいるだけだ」
「それが危ないんだよ。藍を返せ!」

警察官の1人が、奥の部屋からの呻き声を聞き、扉が開いていたので中に入った。

旭もその部屋に急いで行った。藍があらわな姿で、ベッドに寝かされているのは許せなかった。藍のもとへ行き、急いで上着を被せた。

岡田も追いかけていたが、警察官の1人に確保された。旭はもう1人の警察官と藍の束縛されていたネクタイを外した。外した途端、藍は旭の胸の中に飛び込んだ。

藍の目には涙が流れていた。この状況の恐ろしさだけでなく、小説のように矢を打たれて、死んだ旭の顔を見たせいもあった。

「藍、怖かったな。もう大丈夫だからな」
「怖かった。それと旭が矢を受けて死んでいる姿を見てしまったの」
「どういうこと?」
「夢の中で、川岸に矢が刺さったままの青白い旭の顔が…それに武将の岡田がいた」
「え、嫁いだと乳母が手紙にしていたのは、岡田のもとへ…何と言う因果応報だ。あいつも藍を諦められず、現世まで…」

岡田が武内家の当主で、前世の記憶はない。だが、姫は21歳で早逝したのだ。寵愛していたから必然と藍と出会い惹かれたのだ。

まだ旭の運命は翻弄させている。因果応報とは恐ろしいものだと感じていた。このままでは同じことが、繰り返えされるのではと危機感すら覚えた。

胸の中で泣く藍を抱きしめる腕が強くなるのだった。
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