こっちを向いて、ヴェルランド。
不思議な肩の重みで目が覚めたヴェルランドの視界に入ってきたのは、酷く心地好良さそうに眠るリーリエの寝顔であった。

「…?!」

あまりにも予想外の出来事にヴェルランドは瞬時に昨晩の事を思い返す。

(確か、魔力を分けてもらい、その後私は寝たはずだ…。この娘も確かベッドで…)

寝たはずだが、何故か彼女は自分の肩に頭をもたげる様にして眠っている。

(何故この娘も床で眠っている…?)

ベッドを見ると、確かにそこには彼女が眠っていた痕跡が窺える。

(わざわざ出てきたのか?…しかし、何故?)

ヴェルランドは小さく溜息を吐くと、リーリエの寝顔を見つめる。今思えば昨晩は大変な約束をしてしまった。わざわざ死にに行く様な彼女の言い分に、一瞬どうするか迷ったが、自分はそれを否定するほどの仲では無い。

「…」

きっと今ここにリリィ王女がいれば「まぁ、酷い方ね」と一蹴されるに違いない。

(カノープスの状況がさほど酷くなければ彼女を両親に引き渡してやろう…)

ヴェルランドは再びリーリエの寝顔を見つめる。相変わらず危機感なく眠りこける少女の姿に思わず苦笑する。

(仕方のないお姫様だ…)

しかし、彼女のお陰で屋敷を出られたのも事実だ。ヴェルランドは腰くらいまで下がったリーリエの毛布を肩のあたりまで上げてやる。

「これも何かの縁だ。お前のことは私が責任を持って送り届けよう…」

ヴェルランドは小さな声でリーリエにそう告げると、再び意識を闇の中へと手放した。

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