くわばらくわばら! 私のバディは優しくない
中学を卒業して以降、うちの敷地内に建つ社員寮で暮らしている。
早朝から鍛錬を積み、昼間は学校、帰ってきたら退魔の仕事へ。
ここまでずっと大変だったはず。
ケガをすることだってあったし。
それでも、私が中学生のうちはまだよかったと思う。
お父さんか、お父さんの会社の社員であるプロの退魔師とともに、退魔の現場に行けていた。
問題なのは、私が高校生になってからだ。
どうしてお父さんがバイト代を払ってまで、私を蒼麻の退魔に同行させたいのか、理由が分からない。
私に何か特別なことをさせるわけでもないのに。
私はただ桃を投げて、鈴を鳴らすだけ。
何それ。
あっ、ううん、桃はすごいのだけれど。
オオカムヅミは、イザナギが黄泉の軍に投げた桃なのだ。
見事に追い返した功績から、その名前を授けられた。
古事記にそう書かれている。
私が桃を投げるのは、その桃にオオカムヅミが力を貸してくれるから。
そのお陰で退魔ができるというわけ。