浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
優しいのに、逃げ場を与えない声だった。

「今は、強くいる必要はありません」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で何かが崩れた。

私は慌てて俯く。

駄目。ここで泣いたら、本当に全部終わってしまう。

「……大丈夫です」

震える声で言う。

「こういうこと、よくありますよね。浮気なんて」

自分に言い聞かせるみたいに笑う。

でも、日向先生は誤魔化されてくれなかった。

「大丈夫な人間は、そんな顔をしません」

その一言が、痛いほど胸に刺さる。

私は唇を噛んだ。ずっと耐えていた。

隼太を疑ってしまう自分を責めて。

加絵まで疑った自分を責めて。

それでも信じたかった。

なのに全部、本当だった。

ぽたり、と涙が落ちる。
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