浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
そんな私を見つめながら、日向先生はゆっくり近づいてくる。

そして次の瞬間、そっと抱きしめられた。

「っ……」

広い胸に包まれる。

また心臓がうるさくなる。

日向先生の香り。低い体温。大きな腕。

全部が近すぎて、息が苦しい。

「先生……」

掠れた声が漏れる。

すると耳元で、静かな声が響いた。

「これ以上優しくされたら困る、ですか?」

私は答えられなかった。

そんな私を抱きしめたまま、日向先生は低く囁く。

「困ってください」

その言葉に、心臓が大きく跳ねた。

まるで逃がす気がないみたいに。

抱きしめる腕が、少しだけ強くなる。

私は抵抗できなかった。

こんなにも安心する腕の中を、もう離れたくないと思ってしまったから。
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