同じ家なのに君は遠い
だめだ。

期待したら。

きっと違う。

でも隣を歩く遥斗の横顔を見ていると、どうしても期待してしまいそうになる。

夕暮れの風が吹く。

その瞬間、遥斗が自然に天音の鞄を持った。

「えっ」

「重そう」

それだけ。

当たり前みたいに持って歩き出す。

天音はしばらく動けなかった。

その背中を見ながら、胸の奥がじわっと熱くなる。

特別なんて、思いたくないのに。

もう、少しずつ。

遥斗だけが特別になり始めていた。
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