わたし、まだ話してる。
ある日、テレビで企業特集をやっていた。

海外進出した若い社長。
高層ビル。
ホテルのパーティー会場。

画面の中の世界は、全部きらきらして見えた。

私はぼんやり眺めながら、

「すごいねえ」

と言った。

別に、彼と比べたわけじゃない。

ただ単純に、
“こんなすごい人が世の中にいるんだ”
と思っただけだった。

でも彼は、少し笑って言った。

「俺には一生縁のない世界だわ」

その言い方が、なぜか少し寂しかった。
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