わたし、まだ話してる。
彼はすぐにスマホを触りながら、
「でもそれってさ——」
「いや、結局それは——」
と話し始める。
私はぼんやり彼を見ていた。
たぶん彼は、“否定している”つもりではない。
ただ、自分の中で引っかかった部分を、すぐ修正したくなるのだ。
でも私は、修正してほしかったわけじゃない。
「そうなんだ」って言いながら、一緒に考えてほしかった。
「そうなんだ」って、一回受け取ってほしかった。
それだけだった。
でも彼は、その会話すら戦いみたいに受け取る。
少しでも知らないことや、自分と違う考えに触れると、すぐ“反論”の姿勢になる。
私はそのたび、小さく疲れていった。