わたし、まだ話してる。
彼は、自分を低く見る癖があった。

住んでいる地域の話になると、

「この辺終わってるし」

会社の話になると、

「今の会社に未来ないし」

誰か成功している人の話になると、

「別世界だね」

そうやって、自分から線を引く。

私は時々、それが苦しかった。

だって私は、
彼を下に見ていたわけじゃないから。

むしろ逆だった。

背が高くて。
仕事もちゃんとしていて。
落ち着いていて。
年上で。

私は最初、彼を“大人の男”だと思っていた。

でも彼自身は、自分を全然そう思っていない気がした。
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